札幌・円山公園駅から歩いてすぐの場所にある すし宮川。北海道を代表する寿司の名店で、ミシュランガイド北海道で三つ星。長らく予約困難で知られる一軒だ。今回ご縁あって伺うことができ、結論からいうと 今までの人生で一番の寿司 だった。料理はもちろん、お店の空気、大将のおもてなしと気遣い、日本酒ペアリング、全部がひとつの作品のようにまとまっていて、まるで夢のような時間を過ごせる場所だった。

すし宮川はどういうお店か

大将は 宮川政明 氏。東京の名店「鮨よしたけ」での修業を経て、香港「鮨 志魂」の板長を務め、2014年に札幌で独立。開業からわずか3年で「ミシュランガイド北海道2017」にて三つ星を獲得した、北海道屈指の予約困難店だ。北海道の食材はもちろん、全国から良いものを取り寄せていて、季節を問わず安定した美味しさがあると評されている(出典:すし宮川 公式サイト・ミシュランガイド北海道)。

メニューは おまかせコース一本。前半は一手間かけた魚や旬の野菜と組み合わせた 酒肴 が続き、後半は 握り に移っていく流れ。カウンター7席と個室があり、全席禁煙。営業は2部制で、1部は17:00〜19:15、2部は19:30〜22:00。1日に入れる人数が限られているからこそ、一席一席への集中度が桁違いだ。

お店の構え:静かに迎えてくれる和の入口

到着すると、白い暖簾と控えめな店名プレートが迎えてくれる。看板で押してくる感じはまったくなく、知っている人だけが辿り着く隠れ家のような佇まい。扉を開けた瞬間から空気が変わり、「今夜は特別だ」とすぐに分かる。

札幌・円山公園駅から徒歩数分、ミシュラン三つ星寿司店「すし宮川」の店構え。すっきりとした和の入口に白い暖簾、控えめな店名プレート
白い暖簾と控えめな店名プレート。知っている人だけが辿り着く佇まい

コース前半:一品一品が完成された酒肴

コースの前半は、季節の魚と野菜を組み合わせた酒肴が続く。どれも 「ここまで丁寧に仕込むのか」 という感動の連続で、一品出てくるたびにため息が出る。

コース冒頭の一品。北海道の旬の食材を控えめに、しかし的確に仕立てた酒肴
白身の刺身を大根おろしと青ねぎで仕立てた一品。器の細かなドット文様が料理を引き立てる
季節の食材を組み合わせた酒肴。素材の良さがそのまま立ち上がってくる繊細な仕立て
出汁の効いた酒肴の一品。器の選び方も含めて全部が考え抜かれている
海の素材を主役にした酒肴。火入れ・温度・盛り付けすべてが完成されている
季節の小鉢。控えめなのに記憶に残る味の組み立て
出汁が張られた揚げ物の一品。スプーンが添えられ、最後の一滴まで楽しませてくれる
ウニや旬の海の幸を組み合わせた贅沢な一品。北海道らしさが光る

前半の酒肴の段階で、すでに これまでの寿司体験とは別の次元 にいることが分かる。素材の良さに頼るだけでなく、温度・火入れ・出汁・器、すべてが計算されていて、しかも全然押しつけがましくない。

大将のおもてなしと気遣い

料理が素晴らしいのはもちろんだけれど、それ以上に印象的だったのが 大将・宮川さんの人間性。カウンター越しの距離感、間合い、一言一言の温度感、すべてが心地よい。決して饒舌ではないけれど、こちらの様子を見て、料理のペースや日本酒の出すタイミングを完璧に合わせてきてくれる。お店全体の空気を作っているのは、間違いなくこの方の存在だと思った。

人柄がそのまま料理に出ているとはこういうことか、と腑に落ちる。一品一品が 「最高の仕上がり」 なのは、技術と素材だけじゃなく、出す側の姿勢そのものが滲み出ているからだ。

日本酒ペアリング:種類豊富で、毎回ぴたりと合う

日本酒のラインナップが豊富で、料理に合わせて ペアリング を出してもらえる。「これに合うものを」とお願いすると、毎回ぴったりの一杯を出してくれる。種類の引き出しの広さと、料理との合わせ方の精度が両方とも高くて、お酒好きにはたまらない時間になる。

1杯ずつ少量で、料理の流れに合わせて何種類も楽しめる構成だった。「この酒肴にはこのお酒で」という体験が積み重なっていくのが本当に贅沢で、料理と酒が会話している感覚がある。

コース後半:握りの世界へ

酒肴を堪能した後、いよいよ 握り に入っていく。ここからの一貫一貫が、もう本当に夢のような時間だった。

すし宮川・大将の手元。カウンター越し、白衣の袖からのびる両手がシャリと種を絶妙な力加減で握りに仕上げている決定的瞬間。手前のまな板には握られたばかりの一貫が並ぶ
大将の手元。シャリと種の温度・量・締まりが指先で決まる瞬間
光り物の握り。仕事の繊細さがそのまま味の透明感に出ている
青魚の握り。香りと脂の乗り、シャリとの一体感が完璧
白身の握り。素材を信じた最小限の仕事で素直に旨さが立ち上がる
赤身系の握り。漬けの加減と温度の調整が完璧で、口に入れた瞬間にとろける
鯛系の白身握り。シャリは小ぶり、種は丁度よい厚みで、噛むほどに旨味が出てくる
脂の乗った種の握り。スッと溶けて、後味が驚くほどクリーン
香りの強い種の握り。仕事の入った一貫が、コースの中で締まりを作っている
海老の握り。プリッとした食感と甘み、シャリとの相性が抜群
貝の握り。歯ごたえと磯の香りが効いた、後半の見せ場のひとつ
コース終盤の握り。素材の旨味を最大限に引き出した一貫

全部の握りに共通しているのは、シャリと種の温度・量・締まりが全て丁度いい こと。当たり前のように聞こえるが、それを一貫の隙もなく続けるのが、本当に難しいことだと思った。口に入れた瞬間にハラっとほどけて、種の香りと旨味が立ち上がる。次から次へと出てくるのに、一貫ごとに「うわっ」と声が出てしまう。

最後の一椀とデザート:余韻まで完璧

コースの締めに向かう一品。素材の良さがそのまま余韻になる
蓋付きの椀物。蓋を開けると湯気と共に上品な出汁の香りが立ち上がる
コース最後の一品。和の余韻を残しながら丁寧に締めくくる
デザートと共に締めくくる、夢のような時間の終わり

椀物の出汁の透明感、最後のデザートまでの流れも美しい。コースが終わって席を立つときには、「今夜は一生忘れない夜になる」 と素直に思えた。料理だけでなく、空間と時間ごと包み込まれていた感覚だ。

まとめ:人生で最高の寿司

札幌・円山公園の すし宮川 は、料理・お店の空気・大将の人間性が完全にひとつになった 唯一無二の場所だった。三つ星という肩書きは伊達ではなく、それでも肩書きだけでは語りきれない優しさと丁寧さがあった。

これまで何度か「美味しい寿司」を食べてきたが、すし宮川は次元が違うと感じた。「今までの人生で最高のお寿司」。これに尽きる。ご縁があって行ける機会があれば、ぜひ味わってみてほしい一軒だ。記念日や、心から大切にしたい時間に。

店舗情報

店名すし宮川
場所札幌市中央区・円山公園エリア
営業時間1部 17:00〜19:15/2部 19:30〜22:00(おまかせコースのみ・要予約)
アクセス地下鉄東西線「円山公園駅」から徒歩数分
席数カウンター7席+個室・全席禁煙
公式サイトすし宮川 公式サイト

※ 営業時間・予約方法は変動する場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください(2026年6月時点の情報をもとに記載)。予約困難店のため、ご予約は公式の案内に従ってください。